洞爺カルデラ
今から約11万年前、現在の洞爺湖があるこの場所で巨大な噴火が発生した。噴火に伴い発生した巨大火砕流は、周辺一帯を焼き尽くしつつ流れ広がり、周辺を埋め尽くして平坦な丘陵地形をつくった。現在はこの地形が利用され、日当たりの良い広大な畑作地、牧草地が広がっている。 この噴火で形成された直径10km程のカルデラに水がたまり、現在の洞爺湖となった。 この規模の噴火は、日本列島のような島弧系では最大級の噴火であり、日本列島では過去12万年間に9回しか発生していない。
目の前にある風景は、どのようにしてできたのでしょう?
ふだん当たり前に見ている山や丘、海岸など、大地のかたちは、
実は何万年何億年という長い時間をかけてつくられたものです。
豊かな森や動物、そして私たちの暮らしも、その中で育まれてきました。
そこには、さまざまな「大地のものがたり」が隠されています。
生きている地球と、生命とのつながりを、楽しく学べる貴重な場所。
それが「ジオパーク」です。
「洞爺湖」は今から約11万年前に起きた巨大な噴火で生まれ
「有珠山」もまた2~1万年前に噴火をくり返して生まれました。
有珠山は最近でも20~30年毎に1回噴火しており、
周囲の散策路では「噴火口」や「壊された建物や道路」などを見て、
火山の迫力や災害のようすを感じることができます。
有珠山の周りは、昔から飲み水や食べ物が豊富で
「縄文やアイヌの人々の遺跡」がたくさん見つかっています。
今でも、有珠山は私たちに「温泉」「おいしい食材」「美しい景色」など、
さまざまな「火山の恵み」を与えてくれています。
今から約11万年前、現在の洞爺湖があるこの場所で巨大な噴火が発生した。噴火に伴い発生した巨大火砕流は、周辺一帯を焼き尽くしつつ流れ広がり、周辺を埋め尽くして平坦な丘陵地形をつくった。現在はこの地形が利用され、日当たりの良い広大な畑作地、牧草地が広がっている。 この噴火で形成された直径10km程のカルデラに水がたまり、現在の洞爺湖となった。 この規模の噴火は、日本列島のような島弧系では最大級の噴火であり、日本列島では過去12万年間に9回しか発生していない。
今から約5万年前、洞爺湖の中央部で火山活動が再開し、多数の溶岩ドームや火砕丘をつくった。湖底にあるものを含めて現在までに11個の火山体が確認されていることから、何度も繰り返し噴火が発生したことがわかる。これらの溶岩ドームのうち、水面から顔を出した4島を総称して中島と呼んでいる。 中島には遊覧船や散策路が整備されており火山活動の様子が分かるとともに、島の環境に適応して独自の生態をもつエゾシカが生息しており、運が良ければ散策路上で出会える事もある。
洞爺湖や有珠山の火山活動により育まれた森や海、湧水などの恵みを享受し、この地域には昔から人々が暮らしている。当ジオパークエリア内には日本有数の遺跡群が残されており、1万年以上もの長期にわたり持続可能な社会を形成した日本特有の先史文化である縄文文化の暮らしをうかがい知ることができる。
当ジオパークのエリア内には、北海道の先住民族であるアイヌの人々の生活の証も数多く残されている。砦や祭礼場と考えられる「チャシ」など、大地や自然とともに暮らしてきた彼らの思いを感じることができる貴重なサイトである。
826年に開山したと伝えられる有珠善光寺は、有珠山の山麓にあり、たびたび噴火を繰り返す有珠山の様子や災害について、多くの記録を残している。その克明な記録は、発生しうる災害想定や地域の減災啓発において重要な役割を果たしている。
また、有珠山の岩屑なだれによる大小様々な溶岩の塊が散在している境内には、季節の植物が楽しめる散策路があり、溶岩の割れ目に根を下ろした「石割桜」と呼ばれる桜が名所となっている。
洞爺湖温泉と壮瞥(そうべつ)温泉は、1910年の噴火により、温泉水が湧出し誕生した。この噴火の際、世界で初めて噴火中の火山に地震計を持ち込み観測が行われたため、「近代火山学発祥の地」と言われている。
温泉は洞爺湖有珠山ジオパークの「ジオの恵み」の代名詞として象徴的なテーマであり、エリア内には他にも多くの湯処がある。
第二次世界大戦の困難な時期に、有珠山の噴火を見守った地元の人に、当時郵便局長であった三松正夫氏がいる。昭和新山が誕生した1943-45年噴火の際は、その火山活動をつぶさに観察し、火山成長の経過をスケッチし続けて1つの表にまとめるなど、多くの優れた記録を残した。この観察記録は「ミマツダイヤグラム」と呼ばれ、1948年の国際火山学会で発表され、世界の火山学者の称賛を受けた。 生涯に3回の有珠山噴火を見守った三松氏の功績を後世に残し、また日本の火山学の基礎資料を保存するため、昭和新山の麓に設立されたのが三松正夫記念館である。
洞爺湖を目の前に、北海道を代表する彫刻家・砂澤ビッキの作品、小型彫刻公募展「洞爺村国際彫刻ビエンナーレ」の作品や、日本の近・現代文学の初版本、限定本のコレクション、そ してユネスコ世界遺産主席写真家を務めた並河萬里(なみかわ ばんり) の写真等を展示している。
とうや湖ぐるっと彫刻公園は、「人と自然がふれあう野外彫刻公園」として、洞爺湖を囲むように58基の彫刻を湖畔に設置したもの。洞爺カルデラの景観とアートとの融合を楽しめる。
とうや湖ぐるっと彫刻公園 設置MAP